日本動物遺伝病ネットワーク(JAHD)

★2003年9月1日:遺伝性整形外科疾患(股関節形成不全
・肘関節形成不全・膝蓋骨脱臼)診断・登録事業開始

★2003年8月1日:インターネットサイトオープン
http://www.jahd.org/index.html



ディスクが大好きで、やるとなると一心不乱のコー助。
恐いのは思い切りジャンプしてしまった後の着地。
背中からまっ逆さまに落ちて、心臓が止まったことも・・・
幸い何ともなかったけど、ディスクをやっている姿を ビデオのスローモーションで観るとよく分かる。どんなに足腰に負担をかけて ジャンプ、着地をしているか・・・

コー助の体のことも気になってたし、スポーツを やらせているからには、知っておくべき内容かな、と思い、 「関節炎、肘&股関節形成不全セミナー」(2003年7月6日(日)開催)に参加しました。
   そこで話されたのは、日本におけるブリーディングの問題。 遺伝性疾患を持った子を知ると知らずとに関わらず、繁殖させてしまうこと。 知っていながら繁殖をさせるのは論外だけど、そうと知らずに繁殖させてしまい 生まれた子にも、同じ疾患を引き継がせてしまう・・・

家庭犬はもちろん、盲導犬や身体障害者補助犬や警察犬、災害救助犬など も同じ状況。それぞれの役割をまっとうする前に病気でそれがままならないとしたら、 本人も痛みや辛い治療に耐えなくてはならないし、一緒に暮らしている家族 はどれだけ悲しむか・・・。

その代表的な遺伝性疾患が、股関節形成不全と呼ばれる疾患です。

あまりにも杜撰んで、そして悲しい結果をまねくこの状態を打開するには やはり、遺伝性疾患を持つかどうかを個体ごとに調べそれを登録し、 疾患を持たないもの同士での繁殖をすすめていくこと。

欧米諸国では既に“40年以上”も前から遺伝性疾患を減らすための 取り組みが行われ、その結果遺伝性疾患が減少傾向にあります。

なのに驚くことに、これだけ大きなペット社会となった日本 国内には、そのようなシステムが存在しません。

*もちろん、ペンヒップやOFAという診断登録機関が外国にはありますので、 そこの診断結果をもって判断されている方は日本にも多くいらっしゃります。


そこで、2003年に麻布大学の陰山先生を中心に遺伝性整形外科疾患の診断と登録 事業が開始されました。それが、「日本動物遺伝病ネットワーク」です。

  

この登録システムを作る以前、2001年に日本の状況を知るためにラブラドール・ レトリバーの家庭犬を対象に、股関節形成不全の罹患率(疾患に罹っている割合)を調査した所、 何と46.7%の子に股関節形成不全が認められたそうです。(程度は軽度から重度まで)
そしてその罹患率は、アメリカでは11.7%、スェウーデンでは19%、フィンランドでは 31%というから、日本のその数字は驚異的ではないでしょうか・・・

    


そしてコー助も、この診断と登録をすることにしました。
理由は遊んでいたとき、後ろ左足を痛め、1時間ほどで普通に 歩けるようになったのですが、コーギーには 関節炎が多く、3〜7歳での発症がとても多いそうです。
また、恐ろしいことには、痛みがきて、ふらつき、突然麻痺 してしまってからでは、48時間以内に手術を行わないと、 ほぼ歩けなくなってしまうそうです。

そして今後もスポーツを続けるにあたっては 一度ちゃんと診断してもらったほうがいいと思ったからです。

また整形外科診断というのは、レントゲン検査で 全て判断できるものではなく、痛みの場所は触らないと 分からないそうです。その触る場所や触り方なども、 熟練した獣医でないとなかなか分からないことも多いそうです。
そこで、関節疾患など整形に強い獣医さんを何軒かピックアップし、 その中から友人の薦めもあって、平成16年2月1日(日)江東区にある獣医院にお世話になりました。

診察をお願いした朝は食事抜き。 診察台にのって、まずは可動域の確認。だけど、コー助が緊張していて 体が硬くなっているのと、もし痛みがあってもこの状態だと 表現していないので、安定剤を使って催眠状態にしてから レントゲンと触診をしてもらうことに。

2本の注射を後ろ足にうつ。2本目は筋肉注射で痛いらしいけど コー助は補ていしている私の顔をジッと見たまま泣かず、動かず・・・

お父ちゃんと先生と3人で少し話をしている内に、早々に 安定剤が効いてくる。
先生に言われて、お父ちゃんが抱っこしていたのを降ろすと 足が力なく倒れかけた。待合室に出て待っている間にもどんどん 薬が効いていて、目はすっかり閉じ、口元もゆるんでくる。 体も完全に脱力している。嘔吐することもあるので寝かせたほうがいい、とバスタオルを敷いて もらい、そこに寝かせる。


目の前で、薬のせいですっかり体の力が抜け、眠ったようになっている コー助を見ると涙が出てきた。 お父ちゃんと2人で声をかけ、ずっと撫でる。 「このまま目が覚めなかったらどうしよう・・・」そんな変なことまで 考えてしまって・・・

途中先生も様子を見にくる。「お、いい子だね」と言いながら 両手両足の触診。靭帯も問題無し。その他も、診療的には問題は無いでしょう、とのこと。
そのままレントゲンを撮ってもらいに連れて行かれる。「コーちゃん 頑張ってね」と、アシスタントの先生にお願いする。

1時間くらいかかるというので、他の患者さんも大勢いらしたので外で 待つことに。
ちょうど1時間くらいして、病院から携帯に呼び出しがあって戻る。 診察室に入って、先生がレントゲン写真をもとに色々説明をしてくれた。


    

まず、コーギーやダックスなど、胴長短足の子には割と普通のことだが、 股関節の“はまり”がやはり足長の子達と比べると浅いそう。 犬種の持つ特徴でもあるので、全ての子がこれから先に、それが原因で関節炎を起こすとか いうことは言えないそう。

そして今度は前足、肘。これも犬種の特徴で、コーギーやダックスの子達は 前足の関節が多少曲がってついている。(立ってるとき、正面から見ると、 足、真っ直ぐには立ってないでしょ?!)これがあるから、ディスクなどを やっている時の着地の際の衝撃などで、炎症がおこったりすることがあるそうで、 写真から、コー助も多少その気があるらしいことが分かる。

そして左前肘関節には本当に小さかったけど骨欠片が写っていた。
トータルの診断としては、診療的には問題無し。そしてこのレントゲンを もとにJAHDで診断結果が出される。コーギー特有の骨形成をどう診断してくるのか、 その辺がポイントのよう。



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